天鏡閣(てんきょうかく) 親王殿下の旧御別邸 猪苗代 観光

旧跡・文化財
天鏡閣 北庭園から

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令和2年12月18日劇場公開されました映画「約束のネバーランド」は天鏡閣でロケーション撮影がおこなわれています。
Wikipedia 約束のネバーランド

自分達が訪れた時は既に撮影は終わっていましたが、映画の撮影があった事は教えてもらえました。
漫画を読んでいたので、「約束のネバーランド」かなとは思っていたのですが……逆に他のが思いつかなかっただけなのですが、やっぱりという感じで腑に落ちました。

気品ある洋風建築は内部も意匠を凝らした優雅な造り

天鏡閣は、いなわしろ新八景の一つになっています。
以下のものが国の重要文化財に指定されています。
(リンク先は文化庁の国指定文化財等データベースのページです)

天鏡閣

天鏡閣は、有栖川宮威仁親王殿下が明治40年に東北地方を御旅行された際に猪苗代湖畔の風光を賞されて明治41年に建設され、後に高松宮宣仁親王殿下に引き継がれた洋風建築の御別邸でした。現在は福島県へ御下賜(ごかし)され国指定重要文化財となっています。

有栖川宮威仁親王殿下(ありすがわのみや たけひと 親王殿下)
高松宮宣仁親王殿下(たかまつのみや のぶひと 親王殿下)
親王は、嫡出の皇子や最高位の皇族男子に与えられる称号
威仁親王は1913年(大正2年)に52歳で薨去(こうきょ)されました。男系の後継者がいない有栖川宮は断絶が確定しましたが、威仁親王の教育を受け身分を越えて親王を慕っていた大正天皇は、有栖川宮の維新以降の功績を特に慮り、第三皇子の宣仁親王へ将来的に高松宮の号を与え、その祭祀を継承させることにしました。
天鏡閣の名は、明治41年9月に行啓(ぎょうけい)された皇太子 嘉仁親王殿下(よしひと親王殿下)、後の大正天皇により命名されています。

近くには、「福島県 迎賓館 旧高松宮翁島別邸 最上級の素材と匠の技の日本建築」もあり、こちらも見応えのある建築物になります。

表門

天鏡閣 表門

国の重要文化財の指定を受けている表門です。
レンガ造りで、明治の雰囲気満載。

天鏡閣 アプローチ

天鏡閣 アプローチ

門を抜けてアプローチを進むと、だんだん建物が見えてきます。

本館 2階建天然スレート葺の八角塔屋(展望室)付き建築

天鏡閣 正面

建物の正面にでます。バルコニーはこの正面にあるものだけになります。あと、小規模なベランダが2Fの御居間にあります。
この正面玄関から南側(右側)が皇族やお客様のスペースで、猪苗代湖に面しています。北側(左側)はお付きの人や使用人、家事類の部屋になっていて、皇族やお客様が入ることはなかったそうです。
この正面からだけだとあまりわかりませんが、平面図で見ると、かなり凹凸のある建物です。採光とか空間の演出には有効ですが、現在の住宅とかでは手間も建材も掛かり、これほど凹凸のある建物を見る事はありません。

天鏡閣 正面扉

正面の扉からは入館できません、左に回ると入館入り口があります。

天鏡閣 入館入り口

ちなみに、この入り口になっているところは元は調理室であったそうです。

天鏡閣 敷地案内

門は3つありました。表門と東門、北門です。東門と北門の間にも駐車場があって、私達は最初、北門から入りました。表門は後から入り直しました。

この日は、特別公開プログラムに予約して見学しました。
特別公開プログラムはガイド付きで、天鏡閣見学+ロイヤルティー+迎賓館見学になります。

一般1,070円
高校生910円
小中学生800円

詳細(問い合わせ、予約)は、令和2年度福島県迎賓館特別公開についてをご覧ください。
各部屋には説明のボードがありますが、ガイドさんから聞いた方がより楽しめるように思いました。もしガイドさんがいたならご一緒させてもらうといいと思います。

見所。7面の鏡、26個のマントルピース、シャンデリア

見所を押さえて行くとより楽しめると思います。
自分は事前に調べないで行ってしまいました。7面の鏡とか、26個のマントルピースとかは館内を見て回った後、天鏡閣の小冊子で知りました。知っていたらまたもう少しキチンと見れたのではないかと思いました。

鏡は概ね暖炉の上にありました。
暖炉は各部屋、廊下にもあります。
マントルピースは暖炉の周りに付けられた装飾の事でアール・ヌーヴォー様式です。マジョリカタイルと言われるイギリス製のタイルが使用され主にチューリップをモチーフになっています。
各部屋にシャンデリアがあります。1F客間のシャンデリアが一番豪華とされていますが、どの部屋のシャンデリアも天井飾りの造形とその造形から生み出される美しい陰影とを合わせて見ると一段と見応えがあります。
豪華なカーテンやジュータンも普段は見る事のないものです。

1F 玄関から南側の主要室

天鏡閣 外広間、玄関から入った所

玄関ホールです、外広間という名称です。
玄関からは入れませんが、中からはこの外広間を見学できます。
この奥の中央廊下より左手(南側)が主要室で、手前から食堂、客間、撞球室(どうきゅうしつ)となっていて、接客の場となっています。右手 (北側)はお付きの人たちが使う場所で、皇族やお客様が入ることはなかったそうです。

天鏡閣 外広間、玄関

外広間の奥から玄関をみた所です。

天鏡閣、食堂

食堂です。後ほど、このお部屋でお茶をいただきました。
ロイヤルティー&スイーツセットの一般料金は700円で楽しむことができます。
シャンデリア、暖炉、カーテンの吊器具は当初からあったものです。

天鏡閣 客間

家具類はロココ朝を日本風にアレンジしたもので、形は洋風ですが、漆塗りに蒔絵や螺鈿(らでん)が施されています。
シャンデリアのランプはタングステンをフィラメントに使用したものですが、今は製造されていません。製造が終わる時に買い置きしたものを使っているという話でした。

天鏡閣 客間、椅子

天鏡閣 客間、テーブル

椅子のクッションには馬の立髪が使われているそうです。触ったら、やんわりと「触れないでください」と注意されました。ロープがされていたのに、すみませんでした。
椅子は鹿鳴館で使われていたものの複製、こちらもシャンデリア、暖炉、カーテン吊器具は当初からのものになっています。

天鏡閣 客間、暖炉

暖炉の上の鏡は姿見ではなくて、部屋が広く見えるように置かれたものらしいです。

天鏡閣 撞球室

撞球室です。この部屋の案内ボードには球戯室とありましたが、平面図には撞球室とありました。
玉突き台は原三溪から譲り受けたもので、台の足がずれているのはその為という説明でした。
休憩用の丸テーブルは当初からのものですが、椅子はテーブルに合わせて復元したもので座ってもいいものになっていました。
台上の4つの照明は台上を均一に照らす為のものでこれも復元したものになります。

原三溪(はらさんけい)

美濃国厚見郡佐波村(現・岐阜県岐阜市)出身。
原 富太郎、実業家、美術収集家、茶人で号は三溪。
富岡製糸場を中心とした製糸工場を各地に持ち、製糸家としても知られます。

天鏡閣 撞球室、東側暖炉

天鏡閣 撞球室、西側暖炉

撞球室には暖炉が東西に2個ありました。
大抵の部屋は暖炉が1個です。

天鏡閣 階段室

階段室、浴室

撞球室のドアを出ると階段室になっていて、浴室がありました。

天鏡閣 付属室への廊下

天鏡閣 1F付属室

階段を登らずにまっすぐ進むと付属室への廊下になります。
お付きの人が過ごす部屋になります。今は資料の展示がされていました。2部屋並んであります。

天鏡閣 1F付属室の呼び出し装置

天鏡閣 1F付属室の呼び出し場所を示す器具

付属室には、呼び出しの受信機がありました。
上のベルがなって、下の機械は、呼び出している場所を示すようになっています。
4箇所あって、呼び出された場所の蓋が手前に開くような仕組みになっています。

天鏡閣 呼び出し受信機、新型

これは新型なのでしょうか、ベル一体型になっていて、矢印が上がるようです。

2F 主人用のスペースと客間

天鏡閣 屋根裏部屋への入り口

階段を登った所の天井にあるこの意匠は、屋根裏へ通じるようです。この建物は御別邸なので、普段はこの屋根裏の部屋に調度品をしまっておいて滞在時に出して使われたようです。調度品の復元には、この屋根裏部屋に置かれたものを参考にしたりもされたそうです。

天鏡閣 主人用付属室

天鏡閣 主人用付属室、階段手前

階段を登った北奥には、主人用の付属室が2部屋あります。
お召し替えやお化粧用に使われたと推測されているようです。

天鏡閣 御寝室

階段を登った南側が御寝室です。北側(奥の扉)には、洗面所と御厠があります。西隣にはお座所があります。

天鏡閣 洗面、御厠

御寝室の隣の洗面と御厠です。

天鏡閣 御座所

御寝室の隣の御座所です。執務室みたいな感じです。
階段から上がって右側(北奥)の付属室及び御寝室と洗面、御厠、御座所が主人用の場所という説明になっていました。

天鏡閣 御居間、東側

天鏡閣 御居間、西側

本館平面図では、独立した部屋間取りになっていましたが、御居間は二間続きです。居間を兼ねた客間で小さなベランダがついていて、ベランダからは猪苗代湖が一望できたそうです。今は木が茂っていて当時の眺望はありません。
シャンデリアの中心飾りが八角形折り上げになっていることで室内空間がより立体的になっています。

天鏡閣 御居間前廊下

御居間前の廊下です。奥が主人用の階段(この階段から上がってきました)。右側の扉が御居間(東側)になります。

天鏡閣 西客室

西客室です、家具類と鏡はアール・ヌーヴォー様式になります。

天鏡閣 西客室の付属室

西客室の付属室です。右側の扉は厠になります。
厠、付属室、西客室と来客用に設計されています。

天鏡閣 2F浴室

西客室から北側にある2Fの浴室です。
本館には給湯設備はありません、お湯は全て人力で運び込まれて使用されました。

塔屋(展望室)

天鏡閣 塔屋(展望室)階段

塔屋(展望室)へ上がる階段です。

天鏡閣 塔屋(展望室)1F

塔屋(展望室)1Fです。この扉は、主人用階段の上にあった屋根裏部屋へ通じています。説明はありませんでしたが(聞きそびれたのかも)、この部屋も調度品置き場だったのかもしれません。

天鏡閣 塔屋(展望室)

塔屋(展望室)です。建設当時は猪苗代湖が一望できた眺望も、今は樹木に遮られているのが残念です。

天鏡閣 塔屋(展望室)階段口

この日は曇り空で、晴れていれば磐梯山が見えたのでしょうか。

天鏡閣 玄関上のバルコニー

玄関上のバルコニーになります。
ここまでが、天鏡閣のガイド付き見学のコースになります。

天鏡閣 威仁親王妃慰子

有栖川宮威仁親王

威仁親王妃慰子(やすこ) 。有栖川宮威仁親王の妃です。
加賀金沢藩主前田慶寧の娘で、一度袖を通した服は2度と着ないお嬢様であったそうです。
有栖川宮威仁親王は、日本海軍の士官で軍艦の艦長にもなっています。天鏡閣の外壁はグレイで、これは軍艦のイメージからできたのかもしれないとガイドさんのお話でした。

ロイヤルティー&スコーン、入館料

食堂に戻ってロイヤルティータイムです。

天鏡閣 ロイヤルティー&スイーツ メニュー

ロイヤルティー&スイーツのメニューです。
お茶は、
ロイヤルダージリンティー
ハーブティ(やすらぎ)
ハーブティ(トロピカル)
のいずれから。スコーンは
プレーン&ほうれん草
プレーン&ビーツ
のいずれからになります。

天鏡閣 ロイヤルダージリンティー

天鏡閣 ハーブティ(トロピカル)

スコーンはジャムとクリームがついてました。スコーン美味しかったです。ジャムやクリームで味が楽しめるのもよかったです。
つれあいが頼んだのは、ロイヤルダージリンティーです。香りも味もよく、器も感じが出ていました。
自分は、ハーブティ(トロピカル)です。メニューにある通り、爽やかな酸味が程よく美味しかったです。ガラス製?のカップは合わせガラス(縦半分でくっつけたような造作)になっていて、ロイヤル感がなくてちょっと残念でした。

天鏡閣 入館料

天鏡閣本館へ入館料

個人団体
一般370円320円
高校生210円160円
小中学生100円80円

開館日、開館時間
年中無休
5月~10月 : 午前8時30分~午後5時
11月~4月: 午前9時~午後4時30分

北庭園、売店、別館

北庭園、売店、別館、トイレとかは別のページにしました。
天鏡閣(てんきょうかく) 北庭園、売店、別館をご覧ください。
外にある軽食売店の他、本館の入館入り口にもお土産物を扱っている売店がありました。

北門

天鏡閣、北門

天鏡閣 北門、案内

湖畔の森駐車場に車を停めるて上がって行くと、東門、北門があります。
北門から入ると北庭園にでます。北庭園から本館へ行けます。
今回、東門は通りませんでしたが、東門からは南庭園が見えたと思います。
南庭園も見てきていないので、次回は忘れないようにしたいと思います。

公式サイト

国指定重要文化財「天鏡閣」公式ホームページ
有栖川宮威仁親王殿下によって明治に竣工、大正天皇が命名された福島県耶麻郡猪苗代町にある洋館「天鏡閣」の公式ページです。天鏡閣,お知らせ,イベント情報,天鏡閣について,ギャラリー,施設案内,入館案内,交通アクセスなどをご案内します。

所在地、地図

国道49号線から駐車場まで距離で550mです。上り坂になります。
Googleマップを使うと、北門や東門まで案内されてしまいますが、最初の駐車場に停めれば表門から入れます。

天鏡閣 国道沿い案内

国道49号線には写真のような案内が出ています。
意外と見落とす案内板です。自分は、何故か目に入らない看板で、もったいない感じがしています。

名称:天鏡閣
所在地:〒969-3285 福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢御殿山1048−14
場所:

福島県 迎賓館 旧高松宮翁島別邸 最上級の素材と匠の技の日本建築

天鏡閣(てんきょうかく)に寄ったなら、
福島県 迎賓館 旧高松宮翁島別邸 最上級の素材と匠の技の日本建築
こちらもご覧ください。
普段は中に入れないかもしれませんが、外からでも鳥居組柱の支えなどがみられます。
庭園も素晴らしいです。

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