「こづゆ」「ざくざく」福島の汁物 会津若松市(郷土料理/郷土食) 南会津の「つゆじ」

会津 こづゆ郷土料理
会津 こづゆ

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会津地方では、年末に「ざくざく」を食べ、正月に「こづゆ」を食べます。
(会津若松市の市政便りに載ってました。会津地方は会津若松市を含む17市町村)
最近では、年末から「こづゆ」を作る家が増えたそうで、ウチもそうです。
ウチの場合は、年末から「こづゆ」を食べたいという家族欲求の圧が強いのと、もともと、「ざくざく」は作っていなかったという理由ですが、家庭によって「ざくざく」しか作らない、という家もあるようです。
「こづゆ」も「ざくざく」も材料を細かく切って手間なので、両方作るのは大変ですが美味しい。
また、話を聞いていると、節分にも「ざくざく」を作って食べると話もありました。

こづゆ 会津のおもてなし郷土料理

会津は福島県の内陸地方です。太平洋にも日本海にも遠く、「こづゆ」は、そんな内陸でも入手が可能な乾物を素材とした出汁の汁物です。江戸時代に会津藩の武家料理として始まり、江戸時代の後期から明治初期にかけて庶民のごちそうとして広まりました。現在でも冠婚葬祭や年末年始の人が集まる時、ハレの席で振る舞われるおもてなし料理です。
条件反射的に「こづゆ」があると、特別な日の感じがするのは会津の人ならでかも知れません。
自分の家では年末に作ります。ホタテの貝柱(+干し椎茸の戻し汁)で出汁をとります。ホタテの貝柱のお値段がするので、普段はなかなか作れません。あと、ひたすら切ります。
下記は標準的なこづゆレシピです。…すみません言い直します。我が家の標準的なこづゆレシピです。「こづゆには銀杏をいれなきゃ」という意見もあります。
具材の数は、縁起が良いように、割り切れない奇数の7種類や9種類にするのが習わしですが、年末で具材が売り切れていたりすることもあります。
家庭によって材料は異なります。個人的には大根を加えても美味しいと思ってます。
(補足:大根は、ざくざくの材料だとする意見が圧倒的です)

こづゆの作り方、レシピ

豆麩(まめふ)は必須。郷土食材

どこの地域でも手に入りやすい食材が多いですが、豆麩は地域によっては珍しいかもしれません。
地域によっては入手が難しいかもしれませんが、会津では季節に関わらず売っています。
郷土食材と呼ぶほど地域限定食材ではないと思うのですが、よくわかりません。
豆麩(まめふ)は必須で、沢山入れます。

レシピ上の注意:
調味料は、出汁の濃さで必要量が変わります。また、煮る時間によっても変わります。
(分量は目安と思ってください)
失敗は許されます(美味しくない場合)。干し椎茸の戻し汁で調整が効きますので捨てないでとっておいてください、出汁が薄いと思う時に足してください。(後述)
大抵は味が薄いので(うちの場合ですが)、干し椎茸の戻し汁と塩、醤油で濃くしていってください。
(結構、難しいです、やりすぎると椎茸汁になってしまいます)

  1. 分量の水を2つに分け、乾物のホタテを入れて戻す(1晩くらい置いておく)。
  2. 残りの水に昆布を入れておく(1晩おく)。
  3. 干し椎茸も水で戻す。キクラゲも水で戻す。
  4. 豆麩(まめふ)を水に浸しておく。
  5. 一口大より小さくサトイモ、ニンジン、しらたき、戻したシイタケ、キクラゲ、細竹の子、わらびを切る。サイコロより小さめ、里芋は少し大きく切った方が美味しい。
    里芋、人参は下茹でしておきます。
  6. 戻したホタテ貝柱の入った出汁に干し椎茸の戻し汁も少し加える。
    干し椎茸の戻し汁は少しです(30ccとか60ccで様子をみます)。
    水煮のワラビや細竹の子の汁も200cc位加えます。
  7. 切った材料を煮る(あまり、ぐつぐつさせません。必要なものは先に下茹でしておきます)。
  8. 最後に、水に浸しておいた豆麩(まめふ)を軽く絞りながら入れて、日本酒、醤油で薄めの味に整える。
    味をみながら干し椎茸の戻し汁は追加で加えます。
里芋8個
人参1本
シラタキ2袋
キクラゲ適当
細竹の子2袋
ワラビ水煮2袋
乾燥しいたけ適当
豆麩(まめふ)1袋
醤油30cc
大さじ1
1200cc
乾物のホタテ沢山
昆布10cm位
小さじ4

干し椎茸の戻し汁を多く入れると美味しいのですが、「しいたけ汁だろう」って言われてしまいます。
ホタテの貝柱をガッチリ入れるといいのですが、うんん………とてもお値段のする汁になります。

美味しくない時(まずい、薄い)。

先述しましたが、どうしても、薄い、美味しくないという時は、干し椎茸の戻し汁をどんどん加えてください。足りなければ、干し椎茸を戻して、戻し汁を追加で作ります。あまり煮ないので思うように素材の味は出ません。水ではなく、昆布出汁を使っても煩くはなりません。

こづゆ 身欠き鰊と細竹の煮物 浸し豆と数の子
こづゆ 身欠き鰊と細竹の煮物 浸し豆と数の子

写真のこづゆに銀杏は入ってません。昔、自分が嫌いだったので、こずゆに銀杏を入れませんでした。
こづゆはこづゆ碗に持って出します。
「こづゆ椀」は汁椀より浅い器で皿に近い深さです。手塩皿(てしおざら)の一種です。箸で食べますが、「こづゆ」はつゆものですから器を手にもって口に付けてつゆをすすります。
こづゆ椀はこづゆを作った時しか使いません。普段でも皿として使えるのでしょうが、お椀として見てしまうので、なかなか出せません。

「こづゆ」名の由来、呼び方

「こづゆ椀」の「小さな器(小重)のつゆ」(こじゅうのつゆ)が訛って「こづゆ」になったとか、「小吸物(こすいもの)」が転化して「こづゆ」になったとか諸説あるようです。

「つゆじ」南会津地方の郷土料理

福島県南会津地方の田島町などで食べられている郷土料理に「つゆじ」と呼ぶ汁物があります。
ホタテの貝柱と煮干しで出汁を取ります。
豆麩(まめふ)は使わず、「つと豆腐」を入れるとあります。

普通の豆腐を細長く切ってワラで包み、塩を加えた熱湯で20分ほど煮たもの。普通の豆腐に比べて日持ちがよく、ワラの風味がほのかに漂って美味。煮ると味がしみやすいので煮しめ料理によく使われる。「つと」とは「ワラなどで食品を包んだもの」のことをさす。

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1301/spe2_02.html

「つと豆腐」は店でもみたことがありません、郷土食材なのだと思います。

ウチのある年の正月料理

会津 正月 食卓
会津 正月 食卓

写真はウチのもので、会津を代表しているわけではありません。
正月に作るものとしては、「青豆のおひたしに数の子のあえもの」「身欠きニシンと細竹の煮物」等が定番です。数の子はニシンの親魚、塩数の子とか乾身欠きニシンは内陸の会津にも流通したのだと思います。
こづゆはお代わりをします。こづゆ碗で出されたものは「お代わりしっせ」(お代わりして食べてください)と言う意味になります。こづゆは凄い勢いで無くなっていきます。途中から普通のお椀にチェンジです。頻繁に立つのが面倒になるので。
(๑´ڡ`๑)
イベントなどでこづゆが出たりする事は稀れです。
お店で提供されることもあまりありません。
材料費が高くつくのと、手間が掛かるためと思います (芋汁や豚汁に比べて、切る手間が格段に多い)。
また、本だし等で味を整えると、似て非なる「こづゆ」になります。

ざくざく、ざくざく煮、ざくざく汁 二本松の郷土、伝統料理

こづゆに似た料理に「ざくざく」があります。ホタテの貝柱ではなく煮干しで出汁をとります。
大抵は「ざくざく」で通じますが、地域や人によっては「ざくざく煮」「ざくざく汁」と呼びます。
現在、「ざくざく」は二本松の郷土、伝統料理とされています。
二本松とは、福島県二本松市の事です。
二本松は福島県の中通りと呼ばれる地域になりますが、二本松藩になる前は会津藩の一部であったことがあり、会津とは他の地域より深い交流がありました。
会津の知る限りでは「ざくざく」と呼びますが、「ざくざく汁」とか「ざくざく煮」と呼ぶ地域、人もいるようです。
二本松の「ざくざく」が先で、会津に伝わったと言う人がいて、そうなのか、と思っていましたが、会津から二本松に伝わったと言う人もいて、正確な話は不明です。
二本松では葬式料理として始まったと言う人もいます。昔の葬式は自宅で行いましたが、客の数が予想できない時に、すぐに増やせる料理として始まったという事なのですが、一次資料になるものがなくて、間違いではないにせよ、葬式料理から始まったかどうかは不明です。
するめを入れるレシピも多い様です。
材料は様々ですが、高い材料は使わず、ごぼうをささがきにしたり、大根、竹輪などが入ります。
叔父の家での正月といえば「ざくざく」でしたが、家では作った事がありません。いつか作って写真を載せたいと思います。(作りました)

ざくざくの創作小皿が食べられるお店がありました「緑ざくざく(緑こづゆ)」というメニューです。

「ざくざく」 レシピ

ある日に作った材料です。
ざくざくは、煮干し出汁が基本ですが、出汁パックで間に合わせてしまいました。
家庭や地域によって様々な様なので、参考程度にご覧ください。
材料の量は目安です。里芋はもっと多くてもいいです。
このレシピだと汁が少なめです。

里芋3個
人参1本
大根適当
ごぼう適当
鶏もも肉150g
こんにゃく1枚
焼とうふ1丁
しいたけ適当
細竹1袋
竹輪1袋
煮干し出汁1500cc
醤油30cc
みりん、酒各大さじ1
小さじ2

二本松では、具材を四角に細かく切るのが基本のようです。
煮るので、出汁は1.2ℓ位に煮詰まると思います。
なので、塩は小さじ2にしました。出汁が強いと、少し塩を足した方がいいかもしれません。
二本松のレシピを探すと、上記より醤油が多めのものが多いですので、この場合は塩を加減(少なく)してください。

ざくざく 2021.12
ざくざく 2021.12

レシピの材料で作った「ざくざく」
煮干しが足りない。

会津 ざくざく2021.08
会津 ざくざく

2021年8月に作った「ざくざく」。
レシピの材料とは少し異なっています。
キクラゲが入って、ちょっと見「こづゆ」風。
出汁パック(簡単なの)を使ったのでちょっと上品な味に仕上がってます。
あと、ざくざくっぽくないのは、汁が透明すぎるかもしれません。もう少し醤油を入れると感じが変わったかもしれません。

「こづゆ」「ざくざく」「つゆじ」違い

こづゆ:ホタテの貝柱と干し椎茸の戻し汁の出汁
ざくざく:煮干し(+するめ)の出汁
つゆじ:ホタテの貝柱と煮干しの出汁
出汁が異なるのが大きな相違点ですが、ある人の話では「自分ちはざくざくって呼んで食べているけど、ホタテの貝柱が具材として入る」という人もいて、ややこしい、境界線は微妙です。
あえて「違い」を言うのであれば、「こづゆ」は出汁及び具材に「こづゆ」ならではのものがあって、大きな一脱は許されない。
(-_-)
のが「こづゆ」で、それ以外は「ざくざく」と呼ぶと、まあ、差し障りはないかと思うところです。
(めっちゃ、弱気です。だって、それぞれの家庭で、いろいろバリエーションがありますから)

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よく食べる郷土料理ってなんだろう、と考えると

ちなみに、自分がよく食べる郷土料理のNo1は、多分「天ぷら饅頭」です。
自分でもびっくり。
何気に食べる機会が多いのです。
会津若松市の丸亀製麺にも置いてあった事がありました。娘、食べてました。
天ぷら饅頭については下記に書きました。
天ぷら饅頭 会津の郷土料理
(家で天ぷら饅頭を作った時の写真を使ってます)
輪箱飯(わっぱめし、わっぱ飯) 会津 郷土料理
この輪箱飯の中にも天ぷら饅頭が入ってます。
「蕎麦」は、全国的に見ても古い歴史を持っている地域だと思います。
蕎麦どころ信州から、職人を連れてきた地域は他には無いと思います。
高遠そば(たかとおそば)、名前の由来。会津の蕎麦が美味しい理由


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